出荷したソフトウェアについて、使用したソースコード、設計書、試験結果を後から確認できるでしょうか。変更理由や承認記録まで対応づけておくと、不具合の調査や取引先への説明に使えます。
この記事では、SVNを使っている開発部門向けに、出荷版の識別、変更票との対応、記録の保存方法を整理します。ISO 26262を適用する車載開発では、対象となる規格要求と自社の管理手順を照合してください。
構成管理とバージョン管理の違い
ソフトウェア構成管理では、管理対象とその版を決め、変更の手順、記録、確認方法を定めます。SVNなどのバージョン管理ツールは、ファイルの版と変更履歴を管理するために使います。
ベースラインは、出荷や審査などの基準として定めた成果物一式の版です。対象の一覧と版を記録し、変更する場合の承認手順を決めておきます。
ISO 26262と日常の構成管理
ISO 26262は、量産道路車両に搭載される安全関連の電気・電子システムを対象とする機能安全規格です。Part 8では、開発を支えるプロセスとして構成管理と変更管理を扱っています。
SVNを使った運用を点検するときは、次の4点を確認すると、記録の不足を探しやすくなります。これは記事で扱う実務上の確認項目であり、規格要求を網羅した一覧ではありません。
- ソースコード、設計書、試験記録などの管理対象と版を特定できるか。
- 出荷・審査に用いた成果物一式と、外部ライブラリやビルド環境の対応を確認できるか。
- 変更理由、影響の評価、承認、実施結果をたどれるか。
- 必要な期間、記録を保存し、取り出せるか。
保存期間と管理方法は、適用する規格、取引先との契約、製品の保守条件に合わせて決めます。車載以外の開発では、その分野に適用される要求を確認してください。
SVNで記録できることと運用で補うこと
対象リポジトリとリビジョンを記録する。 SVNのリビジョン番号は、一つのリポジトリ全体の状態を示します。出荷版の記録には、リポジトリの識別情報、対象パス、リビジョン番号を残します。別の場所で管理している資料やライブラリは、その版も対応づけてください。
タグの変更を制限する。 SVNのタグは、コピーして作るディレクトリです。タグを作成しただけでは、その後の変更を禁止できません。出荷版として使う場合は、タグのパスと確定したリビジョンを記録し、権限やフックで変更を制限します。
変更理由を記録する。 コミットの履歴から変更者や変更内容を確認できますが、理由はコミットログや変更票に記載する必要があります。ログなどのリビジョン属性は、許可された設定では変更できるため、変更の権限と記録方法も決めます。
コードと関連資料を対応づける。 SVNには設計書やバイナリも格納できます。ロックを使う場合は、取得と解除の手順を決めます。svn:needs-lockはロック取得を促すための属性であり、設定しただけですべての同時編集を防げるものではありません。
権限と復元方法を確認する。 閲覧・更新を許可する範囲を設定し、利用者の権限で動作を試します。バックアップは取得結果だけでなく、必要な版を取り出せることも確認してください。
変更管理の手順と記録
1. 変更票とコミットを対応づける。 変更票に目的、対象、承認結果を記録し、コミットログに変更票の番号を残します。課題側にも該当コミットを記録するか、連携機能を使って、両方からたどれることを確認します。番号の入力チェックだけでは、番号の正しさや承認済みかどうかまでは分かりません。
2. 差分と影響の評価を残す。 svn diffなどで変更箇所を確認し、要求、設計、試験への影響を変更票に記録します。差分だけでは、変更していない部分への影響や、追加すべき試験までは判断できません。
3. 着手前の承認と実装後の確認を分ける。 変更を始める前に、定めた手順で影響と実施の可否を確認します。実装後はレビューと必要な試験を行い、本流への反映条件を満たしたことを記録します。ブランチからの統合だけで、変更管理の手順全体が成立するわけではありません。
4. 再現に必要なものを保存する。 ソースコードの版に加えて、コンパイラ、ビルド設定、外部ライブラリ、生成物、試験結果の対応を記録します。ソースを同じ版に戻せても、同じ生成物が作れるとは限らないため、再ビルドや成果物の照合で確認します。
利用中のツールで管理手順を確認する
Gitでも構成管理の運用を組めます。SVNとGitの選択は、管理するファイル、権限の分け方、開発手順、既存の連携を踏まえて判断します。現在SVNを使っている場合は、まず出荷版と変更記録の対応に不足がないかを確認してください。
サーバーの交換に備えた記録の保全
記録を長く保存するには、サーバーの交換やサービスの変更を見込んだ保全方法が必要です。バックアップの保管先、復元手順、移行時の履歴確認を決めておきます。これにより、元のサーバーを廃止した後も必要な記録を利用できます。
まとめ
SVNを使った構成管理では、対象リポジトリと版、変更票、承認記録、試験結果を対応づけます。タグの変更制限と、外部ライブラリやビルド環境の保存も確認してください。
tracpathの利用や移行にあたり、権限設定や変更記録の管理方法を確認したい方は、現在の運用と必要な条件をお知らせください。提供機能と移行・運用支援の範囲をご案内します。
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参考資料
SVN Bookの参照先は1.7系列の説明です。設定・操作は利用中のバージョンと提供サービスの仕様も確認してください。
この記事の著者
株式会社オープングルーヴ/tracpath編集部。バージョン管理サービスtracpathを提供。





