株式会社スプラインは、システム開発の企画から開発、デザイン、運用までをトータルにサービスしている。これまでの開発とプロジェクト運営方法は、 Microsoft Excelを使ってプロジェクト管理に必要なスケジュール、WBS(Work BreakdownStructure)、課題管理表、バグ管理表を独自に作成していた。また、プログラムの設計図であるソースコードについては、開発者ごとに異なった管理がなされており担当者に任されていたため、社内で統一した運用方法が明確になっていなかった。
そのため、カットオーバー後、数ヶ月後に仕様の確認、バージョンアップ等が顧客から依頼された場合、当時の状況を把握するために多くの時間を費やしていた。また、稼働しているシステムのバージョンアップ作業では、テスト工程の段階で問題がない場合でも、本番環境では障害が発生する場合がある。そのようなデグレード(プログラム等を改修した際に修正以外の部分で不整合・不具合が発生したり、修正済みのバグが再発すること)が発生した場合に、旧バージョンに手作業でもどすしか方法がないため、原因の追及や状況復帰に多くの時間がかかっていた。
同社は、チーム開発やソフトウェアの資産管理、運用管理に対する解決策として、バージョン管理システムの導入を検討した。導入のための選定条件は
上記を満たすサービスとして同社は、tracpathを選択した。
導入により、その効果がすぐにあらわれはじめた。ソフトウェア開発の各工程では、たくさんの課題やタスクがあり、担当者が作業を一つ一つ確実に処理していく必要があるが、tracpathのWiki、チケット機能により、作業内容が明確になったことと、その内容と期間が共有されることで、開発者のモチベーション向上に繋がっている。作業内容が明確になったことによって、「これまでは各担当者の能力に依存していた『見積』の精度が上がったと思われる」と、松本氏は語る。
さらに、ソースコードのバージョン管理とBTSが連携していることによるメリットが挙げられる。tracpathの運用が本格的になったことで、開発チーム内から新たな運用ルール「ソースコードのコミット時には、簡単でも良いので具体的にコメントすること」が決めらたことで、tracpathのタイムライン機能、マイルストーン機能が有効に活用できるようになった。これにより、会議、情報共有のための打合せ、進捗会議の簡略化が実現できた。
もう一つ大きな改善点として、従来のExcel管理で問題点のあった、「タスクの起票漏れ」や「課題の対応漏れ」がすべて対処できていることである。これは、tracpathの運用が開発チームに浸透し、tracpathの便利な機能の1つである「マイルストーン機能」が活用されたことが大きい。
チーム開発でtracpathの活用が成功したことで、さらに小さい「1人プロジェクト」でも採用をはじめている。たった1人ではあるが、複数チームで利用した場合と同様の高い効果がみられている。