Subversion の「trunk」「branches」「tags」の使い方

はじめに

Subversionを使いこなせていますか?自由度の高いSubversionは、慣例に従うことも多く、慣例を理解してうまくリポジトリを構築する必要があります。「trunk」「branches」「tags」もその中のひとつです。作ったばかりのリポジトリはまっさらなので、まずはこの3つを作成するとよいでしょう。

この記事では、解説と合わせて、チュートリアル形式で「trunk」「branches」「tags」の作成を行っていきます。ぜひあなたも一緒にやってみてください。

trunkの使い方

trunk(トランク)は、開発の中心(メインライン)となるディレクトリで、ほとんどのファイルをここに格納します。通常は開発中の最新バージョンを格納しておきます。Gitでいう、masterブランチのようなものですね。後述するbranchesのひとつと考えることもできます。最低限トランクさえあれば開発を進めていくことができますので、初心者の方はまずここからはじめてみましょう。

trunkを作ってみよう

Subversionのインストール

まだSubversionをインストールしていない方は、下記の公式サイトから、各プラットフォーム用のバイナリバッケージをダウンロードして、インストールしておいてください。

新しいリポジトリの作成

それでは、はじめに新しいリポジトリを作成しましょう。それには、コマンドプロンプト(コンソール)から、次のコマンドを入力します。ここでは、リポジトリ名を「tuto-repo」としています。なお、カレントディレクトリは適宜任意のディレクトリに移動しておいてください。

svnadmin create tuto-repo

コマンドを実行すると、新しいリポジトリが作成されます。まだ中身はなにもありません。

trunkの作成

次に、このリポジトリの中にtrunkディレクトリを作ってみましょう。次のコマンドを使って、ディレクトリの作成とコミットを同時に行います。なお、リポジトリのパスは適宜読み替えてください。形式が一般的なパス表記と異なっていることに注意が必要です。

svn mkdir file:///C:/Users/Test/Desktop/tuto-repo/trunk -m trunkの作成

/bootcamp/wp-content/themes/_btcp/images/subversion_tutorial1_01.png

trunkのチェックアウト

それでは、今しがた作成したtrunkにコミットしてみましょう。そのためには、まず作業コピーをチェックアウトする必要があります。「work」という名前の新しいディレクトリを作成して、そこに作業コピーをチェックアウトしましょう。

mkdir work
cd work
svn checkout file:///C:/Users/Test/Desktop/tuto-repo/trunk

/bootcamp/wp-content/themes/_btcp/images/subversion_tutorial1_02.png

これで作業コピーのチェックアウトができました。「work」ディレクトリを確認すると、次のように空の「trunk」ディレクトリ(.svn隠しディレクトリはあります)が作られていますね。

/bootcamp/wp-content/themes/_btcp/images/subversion_tutorial1_03.png

trunkへのコミット

次に、下記の内容の「example.txt」を「trunk」ディレクトリ内に作成してください。

hogehoge
fugafuga

ファイルを保存したら、次のコマンドを使ってファイルをコミットしましょう。

cd trunk
svn add example.txt
svn commit -m はじめてのコミット

/bootcamp/wp-content/themes/_btcp/images/subversion_tutorial1_04.png

これでうまくコミットできましたね。このように、コミットを重ねていくことで開発を進めていきます。次は、このリポジトリに「branches」を作ってみましょう。

branchesの使い方

branches(ブランチ)は、トランクから分岐した別のツリーです。ブランチ(枝)という名前は、トランク(幹)から枝分かれすることからきています。トランクとは別に開発を進めたいときに、トランクからブランチを作ります。ブランチを作るということは、トランクディレクトリをブランチとして、「branches」ディレクトリ内にコピーすることです。別々のディレクトリとして存在しますので、もちろん履歴も別々のリビジョンを持つことになります。

branchesを作ってみよう

branchesの作成

はじめに、trunkと同様のコマンドを使って、branchesディレクトリを作ってみましょう。コミットも同時に行います。

svn mkdir file:///C:/Users/Test/Desktop/tuto-repo/branches -m branchesの作成

/bootcamp/wp-content/themes/_btcp/images/subversion_tutorial1_05.png

新しいブランチを作る

それでは、ディレクトリもできたことなので、トランクから新しいブランチを作ってみましょう。ちょっと長いコマンドになるので、コマンドの引数に誤りがないかよく確認してから実行してください。ここでは、ブランチ名を「new-branch」としています。

svn copy file:///C:/Users/Test/Desktop/tuto-repo/trunk file:///C:/Users/Test/Desktop/tuto-repo/branches/new-branch -m 新しいブランチの作成

/bootcamp/wp-content/themes/_btcp/images/subversion_tutorial1_06.png

このコマンドでなにが起こったかというと、現在の「trunk」ディレクトリが、「new-branch」として「branches」ディレクトリにコピーされ、コミットされました。これがブランチを作成するということです。うまく作成できているか、ブランチをチェックアウトして確認しましょう。

cd ..
svn checkout file:///C:/Users/Test/Desktop/tuto-repo/branches

/bootcamp/wp-content/themes/_btcp/images/subversion_tutorial1_07.png

コマンドを実行したら、「work」ディレクトリを確認してみましょう。「branches」ディレクトリの中に「new-branch」ディレクトリが作られていますね。内容も「trunk」ディレクトリと同じになっています。

/bootcamp/wp-content/themes/_btcp/images/subversion_tutorial1_08.png

後はトランクと同じように、ファイルを追加したり、ファイルに変更を加えたりして、コミットすることができます。もちろん、その変更はブランチに対して行われるため、トランクには影響しません。うまくトランクとブランチを使い分けていきましょう。次に、類似の概念である「tags」について解説していきます。

tagsの使い方

tags(タグ)は、ある特定時点のトランクに名前をつけたものです。Subversionのリポジトリは履歴を保持しているため、いつでも過去のファイルを自由に取り出すことができます。しかしリビジョン番号では、取り出したい履歴がいくつのリビジョンなのかすぐにはわかりません。そこでタグとして名前をつけておくことで、必要なときにタグを参照してすぐに取り出せるようにします。タグの実態は、tagsディレクトリ内にコピーされたトランクディレクトリです。通常、一度作成したタグを変更することはありません。デフォルトでは、ファイルは読み取り専用になっていませんので、誤って変更してしまわないように注意しましょう。

tagsを作ってみよう

tagsの作成

こちらもbranches同様、まずはディレクトリを作成しなければいけません。お馴染みのコマンドを使って、ディレクトリの作成とコミットを行いましょう。

svn mkdir file:///C:/Users/Test/Desktop/tuto-repo/tags -m tagsの作成

/bootcamp/wp-content/themes/_btcp/images/subversion_tutorial1_09.png

新しいタグを作る

それでは、トランクから新しいタグを作ってみましょう。ブランチ同様、先ほどの長いコマンドを使用します。間違えないように注意してください。ここでは、タグ名を「version-1.0」としています。

svn copy file:///C:/Users/Test/Desktop/tuto-repo/trunk file:///C:/Users/Test/Desktop/tuto-repo/tags/version-1.0 -m 新しいタグの作成

/bootcamp/wp-content/themes/_btcp/images/subversion_tutorial1_10.png

このコマンドでも、ブランチの時と同じことが起こります。現在の「trunk」ディレクトリが「version-1.0」ディレクトリとして、「tags」ディレクトリにコピーされ、コミットされました。うまくいっているか、タグをチェックアウトして確認してみましょう。

svn checkout file:///C:/Users/Test/Desktop/tuto-repo/tags

/bootcamp/wp-content/themes/_btcp/images/subversion_tutorial1_11.png

「work」ディレクトリを確認すると、「tags」ディレクトリの中に「version-1.0」ディレクトリが作成され、「trunk」ディレクトリの内容がコピーされていますね。

/bootcamp/wp-content/themes/_btcp/images/subversion_tutorial1_12.png

すでにお気づきかもしれませんが、ブランチを作成する流れとタグを作成する流れは、対象とするディレクトリが違うだけで、それ以外は同じです。なぜかというと、ブランチとタグ(およびトランク)はSubversionにとっては概念にすぎず、なんら特別なものではないからです。あくまで慣例として、ブランチとタグが定義されているだけで、内部的には違いはありません。

そのため、ユーザー側がしっかりと役割を理解して使い分ける必要があります。ブランチはトランクとは別の作業をするディレクトリ、タグはある時点のトランクを保管しておくためのディレクトリと覚えておきましょう。間違ってもタグに対してコミットしてはいけません。リポジトリフックというものを使って、タグに対するコミットを防ぐ方法もあります。とはいえ、少人数で使う場合には、全員に周知するだけでも問題ないでしょう。

まとめ

「trunk」「branches」「tags」は、Subversionの基本となるものです。使い方をしっかりと覚えておきましょう。Subversionでは、リポジトリをどう使うかはユーザーに委ねられています。自由に操作できることは確かですが、慣例となっているベストプラクティスに従うことで、よりよいリポジトリになっていくことでしょう。

参考資料


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