(Photo by:SparkFun Electronics)
クラウドサーバーへの移行をお考えですか?サーバーの移行を検討する理由のひとつには「コスト」があります。
比較対象は、レンタルサーバーかオンプレミスサーバーになるでしょう。レンタルサーバーであれば、月額(もしくは年額)の使用料金で単純に比較できそうです。オンプレミスサーバーであれば、年間の保守コスト(パーツ代など)でしょうか。
しかしながら、Amazon EC2の料金体系は結構複雑なもので、パッと見ただけではどちらが安いのか単純に比較することはできません。料金の算出にはいろいろな要素が絡んでおり、それぞれがいくらになるかを算出しなければいけないためです。これは意外に面倒な作業になります。
この記事では、
- Amazon EC2へのサーバーの移行を考えている方
- 新規にAmazon EC2でサーバーをたてようと考えている方
のために、Amazon EC2の料金の算出方法と簡易ウェブサーバーでの具体例を紹介していきます。ぜひご一読して、ご自分の環境での料金を比較してみましょう。
Amazon EC2はどんなサービス?
Amazon EC2 公式サイト:https://aws.amazon.com/jp/ec2/
Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)は、AWS(Amazon Web Services)のサービス群のひとつで、クラウド上で仮想マシンを稼働させるサービスです。VirtualBoxをはじめとする仮想マシンソフトがありますが、それをクラウド上で実行するようなイメージになります。料金は従量課金制になっており、時間やデータ量に応じて課金されることが特徴です。また、他のAWSサービスと簡単に連携することができます。
Amazon EC2で課金される要素
Amazon EC2では、課金される複数の要素があります。各要素の課金額を合計した金額が請求金額になります。ここでは、どのような要素があるのか紹介していきます。
インスタンス
インスタンスとは、仮想マシンのことです。インスタンスには複数の種類があり、性能によって料金が変わってきます。もちろん、性能が高いほど料金は高くなります。インスタンスは、オンデマンド(1時間あたりの課金)で使うことが可能です。他にも、リザーブドインスタンス(1年間または3年間の使用予約)やスポットインスタンス(価格入札)を利用するとオンデマンドインスタンスよりも安くすることができます。
データ転送量
インターネットへのアウトバウンド通信のデータ量に応じて料金が課金されます。また、他のAWSサービスへのアウトバウンドおよびインバウンド通信についても同じです。この料金は、GB単位で算出されます。
Amazon Elastic Block Store(EBS)
Amazon EBSは、インスタンスのハードディスク(もしくはSSD)に相当するものです。インスタンスのデータは、インスタンスの終了とともに削除されてしまいます。そのため、永続化したいデータはEBSに保存しておく必要があるのです。容量は、インスタンスを作成するときに任意のサイズ(GB単位)に設定できます。もちろん、後から追加することも可能です。
Elastic IP アドレス
インターネット側と通信するために、Elastic IP アドレスを使います。インスタンスには無料でひとつのElastic IP アドレスを割り当てることができますので、しっかり割り当てておきましょう。なお、割り当てを行わなくても自動的にパブリックIPが割り当てられますが、このIPはインスタンスを停止すると変更されてしまいます。
簡単なウェブサーバーだとどれぐらいになるのか?
それでは、簡単なウェブサーバーを例にあげて、月額料金を算出してみます。ここでは、次のようなサイトを運用するインスタンスを想定します。なお、料金は日本円ではなく米ドルです。
- 月間100万PV
- ページ総容量1.5MB
- 一日24時間稼働
月間100万PV程度であればSmallインスタンスで処理できるとのことなので、ここではオンデマンドの「t2.small」インスタンスで計算してみます。
0.04$/時間 × 24時間 × 31日 = 29.76$
次に、データ転送料金を算出します。ここで必要なのは、インターネットへのアウトバウンド通信に対する料金ですね。まず、月のデータ通信量を計算します。
1.5MB × 100万PV = 1500GB
毎月1GBまでは無料なので、1GB分を引いて計算します。
$0.14/GB × 1499GB = 209.86$
次に、EBSに対する料金を算出します。ここでは、既定のサイズである8GB(gp2)で計算してみます。
$0.12/GB × 8GB = 0.96$
以上ですべての料金が算出できました。最後にここまで算出した料金を合計してみます。
インスタンス | 29.76$ |
データ転送 | 209.86$ |
EBS | 0.96$ |
合計 | 240.58$ |
簡単なウェブサーバーでも結構な料金になりますね。他のAWSサービスを使うとさらにコストがかかることでしょう。ここでは常時稼働で計算しましたが、インスタンスを停止できる場合はその分安くなります。
無料枠もしっかり活用しよう
AWSアカウント取得から12ヶ月間は無料枠が利用できます。たとえば、Amazon EC2では次のように、t2.microインスタンスを750時間(約一ヶ月分)使用できます。スモールスタートの場合には使用を検討してみてもよいでしょう。
他にも、多数のAWSサービスに対して無料枠が設定されています。興味がある方は、下記ページを参照してください。
無料枠の詳細:https://aws.amazon.com/jp/free/
まとめ
他にもAWSにはいろいろなサービスがあります。大規模なシステムや高可用性が求められるシステムでは、他のサービスも使ってシステム全体を構成することになるでしょう。それぞれのサービスは独立して課金されるため、個別に料金を算出しなければいけません。面倒な作業ですが、ひとつひとつは単純な計算です。自分のサービスのデータ量などを推定して計算してみましょう。場合によっては、クラウドサーバーのほうが高くなることもあります。24時間365日稼働なら、格安レンタルサーバーのほうが安上がりでしょう。あなたのシステムではどこが一番安いですか?
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