(Photo by:droidcon Global)
国税調査が発表したように、日本のソフトウェア業界で働いている人のうち、8割以上が男性だというのは納得の数字ではありますが、海外でもプログラミング業界は圧倒的に男性社会で、世界中からプログラマーが集まるウェブサイト『StackOverflow』が行ったリサーチでは、世界157カ国のプログラマーのうち、92.1%が男性という結果になっています。
そういった、「浮いている」女性エンジニアの現状から、「世界の半分は女性なのだから、今、世界を作っているIT技術者においても、半分は女性でいいのではないか」、と訴える声が高まっており、自身もエンジニアであるデビー・スターリンさんは、女性プログラマーの認知度が低すぎる現状を改善しようと、エンジニア体験ができる女の子向け組み立ておもちゃ『Goldie Blox』を発案し、TEDTalkでも、女性がエンジニアの現状と未来の大きな可能性について語りました。
「これは生物学的な結果ではなくて、文化的な結果なのです。女の子は小さなころから、“プリセンスになりたい”と思うように仕向けられます。(中略)小さいときに養われる空間的な感覚は、お人形やお化粧セットのようなおもちゃではなく、ブロックなどの男の子向けのおもちゃでなくては得られません。それはなんて不公平なのでしょう。」
世の中の9割のエンジニアは男性であるという事実 (Photo by:anton petukhov)
エンジニアというと「工学」、つまりイマジネーションよりも理論というような固定観念から、女性はエンジニアには向いていないと考えられてきましたが、女性のエンジニアリングの可能性に関しては、ポジティブな研究結果が多く、プログラミングをするための言語能力、インターフェース作成、デザイン能力、そしてコミュニケーション能力という、プログラマーに必要な資質を考えれば、実際は女性の方が向いているのではないかと言われています。
ペンシルべニア大学の生物化学分析者であるラギーニ・ベルマ氏の研究によると、男性が左脳のみで言語を処理する傾向があるのに対して、女性は両方の脳を使用する傾向があり、全ての言語において運用能力が元々高いということが分かっています。
また、『ジェンダー・デザイン・マーケティング』(未邦訳)の著者であるグロリア博士は、女性のほうがデザインの詳細に目を向けるように脳が発達していると述べており、一見男性のほうが得意そうに思われるデザインの精度の高さにおいても、女性の能力が劣っていることはないと言えるでしょう。
↑女性の方がエンジニアに適しているという調査は数多くある(Photo by:hackNY.org)
プログラミングの歴史をみても、機械語でしか動かせなかったコンピュータを英語で動かせるようにしたグレース・ホッパー、また、初のオブジェクト指向のプログラミング言語を生み出したバーバラ・リスコフも女性ですが、グーグル立ち上げ当初からエンジニアとして活躍し、グーグルマップなどのプロジェクトを率いていたマリッサ・メイヤーの登場により、「女性エンジニア」が広く一般に知られ始めたことで、今、世界中で女性エンジニアを増やそうという動きが広まっています。
フィンランドの女性エンジニア、リンダ・リウカスさんが発足したプログラミング研究会「Rails Girls」は、女性を対象としてプログラミングの基礎からアプリ開発までを週末の1~2日で体験することができるもので、プログラマーに転職する女性も出てくるなどの高評価を得ていて、リンダさんも次のように話しています。
「これからは男女問わず、プログラミン グを学ぶべき。英語や中国語のように、プログラミングも世界の共通言語になる。」
↑いちエンジニアからYahooのCEOまで登りつめた、マリッサ・メイヤー(Photo by:TechCrunch)
大人になってからではなく、小さい頃からエンジニアに興味を持ってもらうことが大切だと考えた女性エンジニアのデビー・スターリンさんは、エンジニアリングの基礎として、構築をして空間的な知識を得るための女の子向けの組み立ておもちゃ「Goldie Blox」を開発し、現在では世界中のトイザらスで販売されるほどの人気ぶりだそうです。
Goldie Boxを考えたデビーさんは、自分がエンジニアリングを勉強することを母親に相談したときに、母親は「何で!?」と驚愕したそうですが、Golodie Boxで遊んでいた女の子がお母さんに、「ねぇママ。私もエンジニアになれるかな?」と聞いたときに、その子のお母さんは、「ええ。なんにでもなれるわよ」と答えたことで、「自分は工学の世界にいていいんだ」と思えたと話しています。
黒人女性においても、3%という黒人女性プログラマーの割合の低さを解決するために設立されたNPO団体「Black Girls Code」は、アメリカで7~17歳の黒人の女の子にプログラミングを教えるコースを開いていて、これまでの4年間で生徒数は3000人を超え、その中からプログラミングのセミナーを学校から任される生徒も出るなど、実際にエンジニアとして将来を考える子供も出てきています。
↑性別や人種のしきりが無くなった時、本当に革命的なものが作られる(by:droidcon Global)
ヨーロッパで、IT分野の女性リーダーシップをサポートする団体
「InspiringFifty」は、テクノロジー分野において、女性の地位をアットホームなものにしようと活動しており、そこで選ばれるその年に活躍した50人の女性リーダーは、ForbesやGardianなど、さまざまなメディアに取り上げられています。
一般企業にも、女性が増えることのメリットは証明され始めていて、2014年に行われたGallupの研究によれば、従業員の性別多様性が増えると会社の収益が上がることがわかっており、2012年のクレディ・スイス証券の調査でも、女性が最低一人いる役員会を持つ大企業のほうが、株価パフォーマンスが26%良かったことが明らかになっています。
これからもっと多くの女性がエンジニアリングに携さわれば、その可能性は広がり、ITによって作られる未来の世界は、もっと「かわいい」ものになったり、未来のコンピュータは、これまでにない想像力豊かなパフォーマンスをするものになっていくのかもしれません。
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