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リアルな世界をドローンでプログラミングする「だけど、ドローンのエンジニアは夜型ではなく、朝型。」

By tracpath • 2016-07-22 • Story

1999年に公開された映画「マトリックス」では、機械によって支配される近未来で、カプセルに閉じ込められてエネルギー源として利用されている人間が、脳とつながれたコンピュータの映し出す仮想空間を現実と思い込まされている様子が描かれました。

その当時は単にSF映画の中の世界に過ぎなかったことが、VR(バーチャルリアリティ)技術が飛躍的に進歩し、今やヘッドマウントディスプレイを購入し、VRコンテンツをダウンロードすれば、誰でもVRの世界に没入することが可能です。

VRを利用した新たな試み、VRジャーナリズムは、ヘッドマウントディスプレイを通じて、世界のどこかで実際に起きている現状を体験できます。例えばナニー・デ・ラ・ペーニャ氏によって制作されたコンテンツでは、内戦が続くシリアの町中を歩いたり、ロサンゼルスのフードバンク(生活困窮者に食料が配布される場所)に並んだりする光景を見ることができ、体験者の中には泣き出した人もいたと言います。

Man wearing virtual reality headset at the office
↑想像する未来は意外と速く実現してしまう

また、テレイグジスタンス(遠隔臨場感)という分野の開発も進んでおり、遠隔地にあるロボットを手元で自分の分身のように動かすことによって、空間や時間を超えて、医師が遠隔地の手術を行ったり、人口が都市に集中せずとも仕事ができたりするようになるそうです。

しかし、物理的な距離を解決する方法として、大企業は決して仮想世界だけに注力しているわけではありません。ITの巨人と言われるGoogleが自動運転技術、テスラモーターズが宇宙ロケットの開発を進めているのも注目に値しますが、忘れてはならないのはドローンを使った配送の実用化を進めるAmazonです。

Amazonは配送コストの5分の1は不在配達にかかっているとも言われ、この問題は「ラストワンマイル(最後の1マイル)」としてどの配送業者にとっても悩みの種でありますが、もしドローンを使って配送を無人化できるならば、莫大なコスト削減になります。(2)

A warehouse worker moving a shipment of boxes using a hand truck.
↑アマゾンには巨額の配送コストがかかっている

苛酷な環境における災害救助や、特殊な天候での撮影、アクロバットなスポーツの撮影などへの可能性もあるとされていますが、ドローンの可能性はそれだけにとどまりません。作家であり、次世代テクノロジーに詳しい高城剛氏は、インターネットは現実空間へ拡張していく時代に入り、その延長線上にドローンをとらえる必要があると言います。

考えてみますと、いくらスマホで音楽や写真などデジタル化できるものをスピーディーに送り、クラウドでそれらを大量に共有できるようになったとしても、この世の中にはデジタル化できないもののほうが遥かに多く、重力によって支配された世界で移動し動くためには、物理的なネットワークが必要になります。そして、このドローンこそが、インターネットとモノの移動の架け橋の役割を果たすとして、高城氏は次のように断言します。

「そして、今、インターネットは、重力に挑戦する。これが、ドローンの可能性だ。」(3)

iStock_000061480682_Medium
↑世の中にはデジタル化できない情報の方が明らかに多い

例えば、現在、わたしたちは音楽や動画を「アップロード」してネット上でやりとりしていますが、それと同じような感覚で、ドローンを使って個人が家庭で作った料理や、家庭菜園でとれた野菜、仕入れたりしたモノを安価にやり取りすることができるようになるというのです。

『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』などの著作で知られるクリス・アンダーソン氏はWIREDの編集長を退任した後、「3Dロボティクス」のCEOに就任しましたが、興味深いことに、この会社もドローンを扱っており、現在世界のドローン産業を牽引している企業の一つです。

Shot of a young couple using a digital tablet together on a coffee datehttp://195.154.178.81/DATA/i_collage/pi/shoots/806293.jpg
↑写真をアップロードする感覚で自分が作った料理を届けることができる

同氏はドローンによって実現する将来について、「モノのデジタイジング(デジタル化すること)」を強調します。つまり、ネットを使って検索するように、ドローンを自分が知りたい場所まで飛ばして、現実世界を検索してくれることになるのです。そうなれば、高城氏は「新宿三丁目にいる緑色の服を着た人」、「ニューヨーク五番街で売られているアンティークな家具」などの条件でドローンを使って直接検索できるようになると言います。(4)

DroneDrone
↑ドローンが現実のサーチエンジンとなる

ドローンによって、世界をデジタル化する観点は、筑波大学助教授である落合陽一氏が提唱する、「メディアが物質世界自体をプログラミングできる、人間とコンピュータの区別なく一体として存在する新しい自然観」、つまり「デジタルネイチャー」とも共通します。(5)

つまり、仮想現実はデジタル化された世界がリアルな世界へと「変わっていく」流れですが、デジタルネイチャーも、ドローンによって実現される世界も、デジタルによってリアルな世界そのものに影響を与え、「変えていこう」という世界観です。

確かにネットワークと繋がり、GPSや電子コンパスによって自律的に動くドローンが行き交うようになれば、今のわたしたちは鳥を眺めるように、自然にその光景を眺めているのかもしれません。

UAV or Quadcopter so called Drone against evening sky. Multirotor.
↑リアル世界をドローンでプログラミングする

2011年に韓国では、「シャッツダウン制」という制度が施行され、16歳未満の未成年は午前0時から6時までオンラインゲームの利用ができなくなりました。その背景には、当時9歳~39歳の約8%がネットゲーム中毒の状態に陥っていたと言われ、ネットゲームが殺人事件などの原因となったという指摘もあります。

2006年の時点で米非営利団体Pew Internet & American Life Projectによって、742人の専門家を対象にして行われた調査によると、56%が2020年には仮想世界の魅力から深刻なVR中毒問題が起こると予想していたというように、VR技術ばかりが先行して、リアルな仮想世界を提供すればするほど、そこにのめり込み、中毒になる人々が社会問題となる可能性は高くなるでしょう。

social media addiction
↑すでに中毒になっている若者たちはVR技術がこれ以上進んだらどうなるのか?

高城剛氏は、ドローンを飛ばすために規制のない島で暮らすようになり、「夜型&都市型」だった生活が「朝型&南の島型」に変わったといいますが、ドローンによって今、テクノロジーが仮想世界ばかりに突き進むのではなく、私たちの身体や触れることができるモ ノと結びつけば、現実世界の面白さが再び呼び覚まされるのではないでしょうか。

ここに来てわたしたちは近未来が「マトリックス」が描いていたようなコンピュータに支配されるような悲観的なものではなく、身体を使ってモノを作り、それを家族や仲間と共有し、分かち合うような世界を楽観的に描けるようになり始めています。

その時、わたしたちは空飛ぶドローンを眺めながら、「そういえば仮想現実なんて話していたこともあったね」と懐かしむことになるのかもしれません。

(1)クリス・アンダーソン「MAKERS-21世紀の産業革命が始まる」(NHK出版、2012年)Kindle 1100
(2)高城剛「空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか?ドローンを制する者は世界を制す」(集英社、2016年)p.10
(3)高城剛「空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか?ドローンを制する者は世界を制す」(集英社、2016年)p.16
(4)高城剛「空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか?ドローンを制する者は世界を制す」(集英社、2016年)p.89
(5)落合陽一「魔法の世紀』(PLANETS、2015年)Kindle 1844


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