(Photo by:Danijel James)
いつの時代も情報を制する者が世界を制してきました。
17世紀初頭、情報は「神」の独占物で、ローマ・カトリックの聖職者と一部の特権階級しか扱えないラテン語によって独占されていましたが、その後の宗教改革によって、当時俗語と呼ばれていた英語やドイツ語へと情報は伝わり、それまで独占されていた情報がようやく民衆にも伝わり始めました。(資本主義の終焉と歴史の危機 P129)
それから約400年、現代の先進国の人々は、インターネットやスマートフォンの普及によって、世界中で何が起きているのかですら瞬時に知る事が出来るようになり、民主主義国家では一般市民が主役となったことで、ある特定の人が情報を独占する事は許されなくなりました。
↑約400年前、ラテン語を理解できなければ、情報を手に入れることはできなかった。(Photo by:POP)
しかしその裏では、現在でもほとんどの国において、国家や大企業による情報の囲い込みは続いており、そのような統治体制を崩すべく、「情報を制するのは市民だ」と、さまざまなハッカーたちが名乗りを上げ、隠されていた情報を明るみに出すようになりました。
ハッキングとアクティビズムを合わせて「ハクティビズム」という言葉がありますが、ウィキリークスやアノニマスなどのハッカー集団は、常にターゲットを探してインターネットを回遊しており、パスワードをかけたからと言って、個人情報が完全に守られることは、まずありません。
↑隠そうとする情報は常に攻撃される。(Photo by:Leland Francisco)
サイバー攻撃が市民権を得ているような現代で、多くの人が自分しか知らないユニークなパスワードを設定して情報を守ろうとしていますが、ハッカーたちには、ほとんどのパスワードがその人のPC、またはスマートフォンに入っている情報から簡単に推測できてしまいます。
テクノロジー専門のWEBサイトArs Technicaは、パスワードロックされたファイル16000個を専門家に与え、そのうちいくつのパスワードを解除出来るか実験しましたが、その結果、ものの数時間で全ファイルのうちの90%のパスワードが破られてしまったそうです。
↑数時間で90%のパスワードは破られる。(Photo by:Mario Gonzalez)
最近では2重ロック機能として使われている「秘密の質問」についても、グーグルとスタンフォード大学の研究によれば、ほとんど全ての「秘密の質問」が安全ではない事が分かり、例えば、「好きな食べ物は何ですか?」という秘密の質問は、英語圏であれば「ピザ」と回答すれば、それが当たりである可能性は19.7%にものぼると言われています。
ハッカーたちの動機はさまざまですが、セキュリティ業界のリサーチアナリスト、ケレン・エラザリさんは、「おそらくハッカーだけが政府の行き過ぎた行動や企業によるデータの収集と蓄積に対抗する力を持っている」と述べています。
↑「秘密の質問」の約20%は「Pizza」(Photo by:Pink Sherbet Photography)
最近では、スマートフォン、カーナビ、そしてテレビまでもが人の声を認証システムとして取り入れていますが、企業はそういった人々の声をも収集し、データ活用しており、例えばサムスンの音声認識機能付きテレビには次のような規約があります。
「私たちはユーザーに音声認識機能を提供し、その機能を向上させるために、お客様の音声を収集する事があります。」
インターナショナル・データ・コーポレーションのリサーチマネージャー、ジョナサン・ガウ氏も次のように述べています。
「あなたたち(消費者)はそれを盗聴と呼ぶが、彼ら(企業)はそれを先進的な消費者体験と言うだろう」
↑情報は様々なところから搾取される。(Photo by:Al Ibrahim)
アノニマスにはじまるハッカー集団は、「表現の自由」などそれぞれの信念を持ちながら、相手がどんな大きな組織であろうと、一体となって立ち向かい、その姿は現代の権力に突進する「ドン・キホーテ」のようだと称されます。
例えば、Telecomixというハッカーグループは、2011年にエジプトのムバラク大統領が、物理的に国内のインターネット回線を絶ち、世界とエジプトの接点を切るという暴挙に出た際に、モールス信号やアマチュア無線を駆使しながら、20年前のアナログのダイヤルアップで300回線の開放に成功し、見事にエジプトの市民のためにネット環境を提供しました。
↑ハッカーは敵か味方か。彼らの信念は果てしなく強い。(Photo by:Danijel James)
時には、強くなり過ぎた権力やグローバル企業に対抗して言論の自由を主張するために、私たちはハッカーと共存する社会に向かっているのでしょう。
ハッカー、国家、そして企業はいわば三権分立のようなもので、3つの異なる力が監視し合っている状況だからこそ、インターネットの均衡が保たれていると考えると、どんなにユニークで桁数の多いパスワードであっても、進歩し続けるテクノロジーの前では永久に破られないものなどなく、破られてしまうものであることが社会に必要だという側面もあるのかもしれません。
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