(Photo by:Kevin Jarrett)
オンラインゲームによって中毒者が続出し、その中から死に至る者まで出たというニュースもあるように、ゲームに関するメディアの報道はネガティブな物が多く、更に人を暴力的にさせるといった研究結果も挙がっているため、今でも「ゲーム」には有害なイメージが付きまとっています。
しかし、近年そうした固定概念に捉われず、マインクラフト(Minecraft、通称マイクラ)というゲームを使って社会が抱える問題を解決しようとする活動が増えてきており、たとえばオーストラリアではマインクラフトを使った国立公園のリニューアルという国家プロジェクトがスタートしています。
↑社会的問題を解決するために、使われ始めているマインクラフト。(Photo by:Gordon Wrigley)
マインクラフトは、レゴのようなブロックの世界で、建物を建てたり、植物を育てることができ、バーチャルの世界で自由に冒険ができるゲームで、マインクラフトを使ったオーストラリアの国立公園のコンペでは、バーベキューやキャンプサイト、そしてトイレまで、小学生達が自分達が考える理想の国立公園をマインクラフトで作って提出します。
環境保護大臣を務めるイアン・ハンター氏は、子供たちが一体どのような国立公園を求めているか知るためには、大人にするような普通のオンライン調査ではダメで、「何か画期的方法が必要だ」と考え、マインクラフトを使ったコンペ案を使うに至った経緯を次のように述べています。
「私達は、新しい形で人々とコミュニケーションをとる方法を探しているのです。」
↑子どもの意見を取り入れるために、Minecraftは大いに役立った(Photo by:Eric Haines)
建築系の学生でサークル「はるとりみなと」を運営するヴォストク氏が、マインクラフトを使って再現した1/50スケールの日本は、国土地理院や環境省のデータに基づいて、山の標高から植生まで可能な限り細かいところまで対応したブロックで作り上げられていて、その精密さから公開当初はメディアで取り上げられるなどして話題になりました。
マインクラフトが現実に近い環境や社会をも表現できることで、マインクラフトで作られた仮想空間が、ただのゲームの世界に限定されず、リアルになるという楽しさに、大人たちも注目しています。
マイクロソフトは、メガネ型ホログラムヘッドセット『Hololens』を開発しましたが、これをマインクラフトと組み合わせると、何もない空間にマインクラフトの3Dホログラムを映し出すことができるため、プレイヤーはテーブルの上にまるでレゴで組み立てられたような3Dオブジェクトとして現れたマインクラフトマップを手で動かしながら、仮想空間に自分が思い描く世界を作り出していくことになります。
↑仮想空間が現実のものになるという新しい快感。(Photo by:Terry Madeley)
IT分野の専門家や最先端企業がマインクラフトに注目していることに伴い、マインクラフトの教育分野での有用性を示す研究も発表され、スウェーデンではマインクラフトを必修科目に入れる取り組みが始まり、オーストラリアのクイーンズランド大学でテクノロジーを専門とするデズアニ教授は、マインクラフトの教育現場での可能性を次のように語っています。
「教師達が最も色めきだったことの一つは、普段授業でパッとせず参加しなかったような子達が突然輝き始め、他の生徒たちがその子達をクラスのリーダーとして見るようになった。」
アメリカやイギリスなどでは、小中学校でのダブレットの普及が進んでいるため、タブレット版のマインクラフトを使って数学や地理などを教える教師も出てきており、最近ではマインクラフトを使ったレッスンプランの本なども出版されていることから、マインクラフトは教師達にとっても、簡単で、より実践的な教育ツールとして受け入れられ始めています。
また、「ゲーム内でプログラムを組むことができる」というマインクラフトの特徴に着目したテクノロジー教育会社Youth Digitalは、マインクラフトを使って子どもにプログラミングを教えるオンラインコースを新しく開講するなど、マインクラフトで子供たちが発揮する創造力をITの分野に応用していく動きも出てきています。
↑マインクラフトは教育に最も実践的なツール。(Photo by:Eric Haines)
2009年に販売が開始してから2014年までの5年間で5千4百万本を売り上げ、世界に1億人のユーザーがいるともされるマインクラフトですが、日本ではものづくりゲームとも称され、東京で行われた「親子キャンプin マインクラフト 」に参加してマインクラフトに初挑戦したパパイヤ鈴木さんも、「ものづくりの楽しさを味わいました」と感想を述べています。
これまでテストとインターネットというほぼ2次元の世界を中心にしてきた子供たちが、マインクラフトによって3次元の仮想世界に軸を置くようになったことで、専門家の間では、これまでとは違ったイノベーションが生み出されると期待が高まっています。
無限の3次元空間で、創り、考える世代が消費者となる数年先の未来で、どのような芸術、コミュニケーション、そしてビジネスが生まれ、どのように社会が変わっていくのか、非常に楽しみです。
本ブログは、Git / Subversionのクラウド型ホスティングサービス「tracpath(トラックパス)」を提供している株式会社オープングルーヴが運営しています。
エンタープライズ向け Git / Subversion 導入や DevOps による開発の効率化を検討している法人様必見!
「tracpath(トラックパス)」は、企業内の情報システム部門や、ソフトウェア開発・アプリケーション開発チームに対して、開発の効率化を支援し、品質向上を実現します。
さらに、システム運用の効率化・自動化支援サービスも提供しています。
”つくる情熱を支えるサービス”を提供し、まるで専属のインフラエンジニアのように、あなたのチームを支えていきます。
No Comments