(Photo by:droidcon Global)
「ゆとり世代」といわれる若者たちの離職率が問題視され、厚生労働省が実施した「若年者雇用実態調査」によれば、平成23年3月に大学を卒業した若者たちの3割以上が3年以内に離職しているそうですが、そんなゆとり世代への対策として、失敗を表彰する会社があるそうです。
ある旅行会社では、新入社員が年の差婚カップルに「親子旅行」を勧めたことで大変なお怒りを受けました。会社はその新入社員に対して、「失敗によって“同行者との関係性を最初に尋ねる”という接客ルールができた」と評価し、会社役員会は、金一封と景品とともに表彰したそうですが、この制度の導入によって、離職率が以前の3分の1になったと言います。
↑失敗を評価し、報酬まで与えたことで離職率が一気に低下(Photo by:AFGE)
SNSなどが普及した現代社会では、他人からのクレームや評価などが目に見えるため、思い切った行動ができないまま、中途半端になっている人も多く、これまで世の中に名を残してきた人たちは、当然のことながら、クレームを受けたり失敗したからといって諦めることはせず、元バスケットボール選手のマイケル・ジョーダンも失敗について次のように述べています。
「9000本以上のシュートを外し、試合では約300回負けた。試合の勝ち負けがかかったウイニングショットは26回外した。人生において失敗の連続だった。だから今、こうして成功したんだ。」
↑9000本以上のシュートを外し、試合では約300回負けた(Photo by:Jason H. Smith)
ハードロック工業株式会社(東大阪市)は、従業員50名弱の中小企業ですが、ゆるまないナットを改良し続けた結果、「ハードロックナット」というゆるまないナットを生み出し、「ものづくり」界に確固たる地位を築いています。
ハードロックナットは、日本の新幹線をはじめ、英国、ドイツ、そして台湾など世界中の高速鉄道、瀬戸大橋や明石海峡大橋などの橋梁、東京スカイツリーなどで使われていますが、もともとは自分が作り出したゆるみの少ない「Uナット」へのお客さまからのクレームがきっかけとなって生まれたそうで、同社の社長であり発明家の若林克彦さんは、著書「絶対にゆるまないネジ」の中で次のように述べています。
「お客さまからのクレームは、新しいアイデアを生み出すチャンスであることも事実です。ですから、決してクレームから逃げてはいけないのです。」
↑絶対にゆるまないナットはお客様のクレームから生まれた(Photo by:Eric)
鉛筆やクリップなど工業デザインの研究で有名なヘンリー・ペトロスキーは、著書「Success Through Failure」の中で、ひとつのものをより良いものにしていこうとし続けている発明者やエンジニア、デザイナーにとっては、どんな失敗も失望にあたらないのだと述べており、そういったクリエイティブな人たちに共通しているのは、「失敗」の捉え方で、彼らは失敗が新しいものを生み出す機会を与えてくれるものだと知っているのかもしれません。
↑クリエイティブな人たちは失敗の「捉え方」が違う(Photo by:Laura D’Alessandro)
バーバラ・コーコランさんは、高校での成績は「ストレートD(最低ランク)」、23歳までにウェイトレスを含め20の仕事を転々としたという経歴の持ち主ですが、現在はニューヨークで不動産仲介会社を経営する実業家で、ABCテレビの「シャーク・タンク」という番組にも出演しており、成功の理由を次のように述べています。
「成績の飛びぬけている社員とそうでない社員の違いは、どれだけ一生懸命働いているかではありません。唯一の違いは、落ち込んでいる時間が短いことです。我が社のスーパースターは、失敗なんていうものが存在することすら知らないでしょう。」
↑(左)スーパースターは落ち込んでいる時間が圧倒的に短い(Photo by:LinkedIn Pulse)
日経「ものづくり」誌が、ものづくりに携わる中堅・中小企業を対象に2004年に行った調査によると、4割以上の回答者が、今後生き残っていくためには「独自技術の開発」が不可欠だと感じているそうですが、これまでに独自の技術を生み出してきた人々はみな、クレームや失敗を踏み台にしてひたすら前に進んできました。
ハリーポッターシリーズで大富豪になったJ.K.ローリング氏は、それまでは小説を書いていてもホームレス一歩手前の貧しさだったそうで、ハーバード大学での卒業記念スピーチで、「失敗のもたらす恩恵」について次のように語っています。
「私は自由になったのです。何故なら私の最大の恐怖は既に現実のものとなり、それでもなお私は生きていて、愛する娘もいて、古いタイプライター、大きなアイデアもあったからです。」
↑ハリーポッターも失敗続きだった(Photo by:Thalita Carvalho)
「褒めて育てろ」というのは、人材が豊富でない中小企業にはとても有効な方法かもしれませんし、ゆとり世代の人たちは叱られるのに慣れていないなどとも言われますが、欧米の真似をしていればよかった時代と、ものすごく複雑な状況にある今の日本とでは、社員の育成の仕方も違って当たり前なのではないでしょうか。
参考文献:「絶対にゆるまないネジ 」 若林 克彦
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