(Photo by:Peter Taylor)
エンターテイメントの形態は常に変化していますが、受身の形態を体験型に変えたエンターテイメントの先駆けとして代表されるものが、ロンドンで始まったシークレット・シネマという、体験型映画です。
シークレット・シネマは、参加者が映画の物語の登場人物になったように映画を実体験できるエンターテイメントですが、映画の内容は当日になるまで明かされず、チケットを購入した後に会場やドレスコード、持ち物などの指定が届き、当日会場に訪れた参加者は、まったく他人同士の集まりであるにもかかわらず、その映画の一部になったかのように、映画を楽しむことができます。
↑ゴーストバスターズやスターウォーズなどに自分が入る「Secret Cinema」(Photo by:thierry ehrmann)
最近日本でも、「リアル脱走ゲーム」といって問題解決のゲームをリアルに体験できるエンターテイメントが人気を集めていますが、リアル脱走ゲームはただ物語を追体験するのでなく、自分でゲームの過程や結末までもつくっていける新感覚の体験型ゲームです。
2007年に生まれたリアル脱走ゲームは、あらゆる空間に映画や漫画などを基にした物語の設定をつけ、制限時間内に仲間と協力して”脱走”を試みるゲームで、2013年には約35万人を動因する人気体験型ゲームとなりました。
あるゲームでは、参加者150人中、たった6人だけが問題解決に成功したように、脱出を成功させることはとても難しく、参加者の多くは「問題がとにかく難しい」、「解けたと思ったら、最後に落とし穴がある」などと述べており、ある参加者の中には問題集を使って頭を慣らしてから、ゲームに参加する人も増えているようです。
↑とにかく頭を使う本格的なゲーム。(Photo by:Giuseppe Milo)
自分一人で問題を解決することは不可能なため、同じグループの仲間と協力することが必要不可欠になってきますが、1時間という制限時間内で脱出を成功させるには、役割分担をしてなにが必要が、必要でないかを瞬時に見極めることも重要で、同じグループとして選ばれた違うバックグラウンドを持った個人それぞれが、自分の得意分野の知識を発揮しなければ成功することはできません。
ある参加者は「見ず知らずの人とコミュニケーションすることは難しいかと思ったけど、知らない人同士のほうが礼儀があって、お互いを気遣える」と言っているように、見ず知らずの人と仲間になり、協力して問題を解く過程が、ゲームの達成確立をより高めているのではないでしょうか。
↑むしろ、見知らぬ人同士の方が成功する確率は高い。(Photo by:TechCrunch)
大人になるほど誰かと何かを分かちあい、熱狂を味わうことは実際にあまりなく、リアル脱走ゲームの生みの親である、加藤隆生さんは「大人達は部活動のような達成感を求めている」と述べているように、このゲームでは、学生時代に味わったような、何かを「成し遂げた!」というような単純な達成感を味わえる場所としての役割も果たしています。
このゲームの特徴は、その我を忘れさせるような「没入感」だと言われ、たとえば「目の前にアタッシュケースが置かれていて、謎を解いて箱を開けると中には爆弾のようなものが入っている。そこには赤い線と青い線が出ていて、はさみが用意されている。さて、どちらの線を切るのか…。」 というような、ドラマのワンシーンとしてしかありえないようなシチュエーションを与えられることで、リアルであっても、実生活の世界から離れてゲームとして没頭できるのかもしれません。
↑「赤を切るか、青を切るか」。現実から離れるほど没頭できる。(Photo by:rjp)
消費者市場は常に新しいものを求めていて、エンターテイメントの分野でも2D、3Dや4Dの映像、さらには体験型のエンターテイメントがまた新しい形のゲームとして登場しました。しかし、リアル脱走ゲームのような体験型エンターテイメントは、従来のゲームとは違い、与えられた設定の中でプロセスや結末を作っていけるということが今までにはなかったエンターテイメントで、今まで人が潜在的に欲しいと思っていたけれどなかったエンターテイメントの形なのかもしれません。
↑自分なりの結末を作っていける新しいエンターテイメント。(Photo by:Luigi Mengato)
2015年の3月にフェイスブックがバーチャルゲームを開発するスタートアップ企業Oculus を20億ドルで買収したことが話題になりましたが、業界のアナリストは、フェイスブックがOculusのバーチャル技術を利用してソーシャルメディアを体験型にシフトしていくために利用するためではないかと予想をしており、フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグも次のようにコメントしています。
「今の自分の存在を感じながらも、際限なく場所や経験を共有できるようになるんだ。ほんのひと時を友達と分かち合うのではなく、最初から最後まで体験や冒険のすべてを共有できるのだと想像してごらん。」
↑体験や冒険のすべてを共有できるのだと想像してごらん。(Photo by:Stonehenge Stone Circle)
自分の体験以上にパーソナルなものはこの世に存在しませんが、リアル脱走ゲームの生みの親である加藤さんは、これからは「パーソナライズ」されたゲームが人気になると言っているように、私達がよりパーソナルなものを好むようになれば、私たちの身の回りのあらゆるものが、決められスタートやゴールはなく、体験を楽しませることをベースに作られるようになる日も近いのかもしれません。
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