(Photo by:Open Knowledge Foundation Deutschland)
「クラッカー」と呼ばれる、法的に犯罪となるほどのハッキングを行う人たちの中には、通常のハッカー以上にコンピューターやネットワークに精通し、さらに異なった角度から物事を考えながら、創造性を発揮させる若者達が存在します。
スティーブ・ジョブズやスティーブ・ウォズニアックも、アップル創業前はクラッカーで、電話回線にハッキングをしてタダで電話が使える「ブルー・ボックス」を開発するなど、犯罪ともいえる事業を行っていましたが、ある時にクラッカーからハッカーへと転換して、コンピューターのハードやソフトを作るようになりました。
↑ハッカー以上に創造性と知識を持つ、クラッカー。(Photo by:Open Knowledge Foundation Deutschland)
ジョブズとウォズニアックがアップルコンピューターを開発し、それに感動した投資家マックラ氏からの手助けによってビジネスを飛躍させるに至ったというのが、現在のアップルの始まりですが、実は、コンピューター開発に必要な技術はクラッカー時代に身に付けたとジョブズは答えています。
「もしブルー・ボックスが無ければ、アップルも存在しなかっただろう。それは確かなことだ。それを通してウォズと私は一緒に仕事をすることを学んだし、技術的な問題の解決や生産への自信がついたんだ。」
↑犯罪ギリギリのところまでやったからこそ、今のアップルがあるのかも。(Photo by:Marc Lehmann)
多くの有能な若者がハッキングをする動機は、「コンピューター技術への飽くなき探求心」や、「コミュニティにおいて仲間に認められること」など様々ですが、そもそも悪いことをしようと思ってハッキングという犯罪に手を染めるのはあくまで少数の人たちだけです。
コンピューター・セキュリティが専門のチャントラー博士の調査で、学生ハッカーのおよそ70%がIT業界で働きたいと答えているように、彼らにとってのハッキングは善悪とは異なり、自分のコンピューター技術を高めようとする努力の一部で、「Hacker Ethic」(ハッカーの倫理)の著者である哲学者のヒマネン氏は、楽しんで学び続ける職人のようなハッカーたちの哲学が、すべての分野のビジネスにおいて生き残るカギだと述べています。
↑若者のハッカーで悪い事をしようというのはあくまで少数派。(Photo by:Epsi Platform)
そのような「ハッカー・ウェイ」を社内のモットーにしているフェイスブックのザッカーバーグ氏も、ハッカーの資質について次のように述べています。
「ハッカーたちはいつも、もっとよくなる、そして完成しているものは何もないと信じているんだ。みんなが無理だとか今のままでいいとか言ったとしても、よくなるように直さずにはいられないんだ。」
また、スタートアップに多額の投資を行う投資家は「エンジェル」と呼ばれますが、エンジェルたちもハッカーやクラッカーに注目しており、2012年の段階で、エンジェルがインターネット事業を行うスタートアップへ投資した額は全体の31.9%にも上っていて、他事業への投資を10%以上も引き離しています。
↑ハッカー達にとって、完成しているものなど、何もない。(Photo by:Robert Scoble)
漫画「王様達のヴァイキング」でも描かれているように、エンジェルたちが投資をする決め手には、必ずといっていいほど可能性と情熱を秘めた若者の存在があり、子供の頃からプログラミングで遊んでいたというフェイスブックのCEOザッカーバーグ氏も、2004年に「Facebook」を作った際に、ハリナラヤン氏とラジャラマン氏という二人のエンジェルによる助けを得ています。
ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが、スタンフォード大学在学時に作成した検索エンジン「Google」も、1998年にエンジェル投資家であるシュリラム氏に認められて、支援を受け、世界最大の検索エンジンになるに至っており、エンジェルがいなければアップル、フェイスブック、そしてグーグルも存在していなかったかもしれません。
↑情報社会を生き残れるハッカー達は、投資家の注目の的。(Photo by:The Orkla Group)
ハッキングを行う人の数は急増していて、2012年の段階で世界に1700万人もいることがわかっており、アメリカ国防省は、サイバー空間を、陸・海・空・宇宙空間に次ぐ「第五の戦場」と宣言し、米国企業や日本政府もハッカーの雇用を推し進めています。
今後、インターネットとコンピューター技術の発達により、この「第五の戦場」が熱気を増していけば、世界にまったく新しい価値を生み出すことができる彼らが、政府やエンジェルたちに認められ、国家公務員や創業者になることも不思議ではなく、ハッカーの一般的な認知も、部屋にこもりきりの日陰者のようなイメージから、社会を率いるスターのようなイメージへと変わっていくのかもしれません。
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