(Photo by:KamiPhuc)
最近、多くのベンダーがインメモリー・データベース(以下、IMDB)をリリースしている。現代は、Big Data(ビッグデータ)の時代と言われ、大量のデータを高速に分析できるIMDBへの期待は高まっている。
しかし、顧客企業への導入例はそんなに多くないのが実情だ。
その理由の一つして、Big Dataの利用手法が世の中で確立していない事が挙げられる。Big Dataは、データを大量に収集するだけでは意味がない。生データからの加工(どの特性に注目し、どの軸で分析するか)を行わないと、意味を持った分析ができない。そのため、IMDBを使ってのBig Data分析への興味を持っている企業は多いが、導入までには至っていない例が多い。
多くの人は、IMDBイコール大量データの分析、と考えがちだ。実際に、IMDBは分析機能に多大な実力を発揮する。しかし、IMDBは、基幹システムへ利用しても大きなメリットを得る事ができる。今回は、その効果を見ていきたい。
基幹システムでのメリット
IMDBがまず、基幹システムに効力を発揮するのが、ジョブの高速化だ。基幹システムでは、毎晩大量のバッチジョブが走る。決算期には、決算用の重いジョブが走り、朝になっても、ジョブが終了していない事もある。
それを解決してくれるのが、IMDBによるジョブの高速化であり、実際にIMDBの導入により、決算早期化を実現した会社は複数ある。
(Photo by:Walter)
又、SAP社のS/4HANA(IMDB上で動くERPのブランド名)の場合、IMDB上で動かす事により、データ構造を、劇的にシンプルにした。従来のERPでは、例えば、単体会計のデータと連結会計のデータ、の両方のデータを持つ必要があった。
しかし、S/4HANAでは、IMDBが高速処理を行うために、単体会計データのみを持てばよい。ユーザーが連結会計レポートのボタンを押した瞬間に、S/4HANAは一瞬で単体会計データから連結会計のデータを作るため、重複したデータを持つ必要が無いのだ。
同様の理由により、多くの集計テーブル、中間テーブルがS/4HANAでは廃止され、ほぼ明細データのみ、のテーブル構造となっている。シンプルなデータ構造は、アドオンプログラムの開発工数を下げ、データ書き込みの処理も早くしていうる。
(Photo by:KamiPhuc)
又、導入時の費用だが、メモリは、値段が下がってきたとはいえ、ストレージと比較すると格段に値段が高い。
しかし、S/4HANAでは、メモリのコスト削減のために各種の機能を用意している。
1つ目が、インメモリー・コンピューティングによるデータ圧縮、2つ目が集計テーブルの廃止によるデータボリュームの削減、である。この2つを組み合わせることにより、94%の削減に成功した例もある。
又、SAPは、Multi-Temperature Data Managementという、アクセス頻度の高いデータ(Hot data)のみをIMDB上に保存し、アクセス頻度の低いデータをHW上に保管して、全体のコストを下げる機能も提供している。
1990年代から始まり、大きな変化が見られなかったERPの世界だが、IMDBの導入により、今後大きな変化の波が訪れるかもしれない。
本ブログは、Git / Subversion のクラウド型ホスティングサービス「tracpath(トラックパス)」を提供している株式会社オープングルーヴが運営しています。
開発の効率化をしたい!もっと便利なツールを使いたい!そんなお悩みをtracpathで解決!
「tracpath(トラックパス)」は、企業内の情報システム部門や、ソフトウェア開発・アプリケーション開発チームに対して、開発の効率化を支援し、品質向上を実現します。
さらに、システム運用の効率化・自動化支援サービスも提供しています。
”つくる情熱を支えるサービス”を提供し、まるで専属のインフラエンジニアのように、あなたのチームを支えていきます。
No Comments