(Photo by:DeclanTM)
はじめに
クラウドストレージが普及し、個人利用では、Dropbox、iCloud Drive、Googleドライブ、OneDriveなど手軽に便利に利用できるサービスがたくさんあります。企業のクラウドストレージ利用は、適材適所で利便性だけではなく、セキュリティの観点から全てがクラウドに移行しているわけではありません。
企業のオンプレミス(自社が管理する設備に導入・設置して運用すること)のサーバーでは、必ず冗長化やバックアップを行い、データ喪失を防ぐことが必須となっています。しかし、RAIDの破損やシステムトラブルによるバックアップの失敗などでデータが失われてしまうこともあります。今回紹介する Amazon S3 は、非常に高い堅牢性を備えていて、データを失う心配がほとんどありません。また、クラウドサーバーのため、サーバーの保守も不要です。
この記事では、堅牢なストレージを探しているエンジニアの方のために、Amazon S3 の概要や特徴、料金体系などについてお伝えしていきます。オンプレミスから移行する際の参考にしてください。
Amazon S3とは?
Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)は、シンプルなクラウドストレージサービスです。Amazon Web Services(AWS)の中核となるサービスで、Amazon EC2をはじめとする、他のAWSサービスと容易に連携できます。もちろん、Amazon S3単独でも使用できます。
Amazon S3の特徴
高い耐久性
Amazon S3に保存したデータは、自動的に3箇所のデータセンターに複製されるため、99.999999999%(イレブンナイン)という高い耐久性を持っています。データを損失する可能性はほぼありません。
容量制限なし
HDDやSSDでは物理的な容量の制限がありますが、Amazon S3なら必要な分だけいくらでもデータを保存できます。事前の容量見積もりは不要です。ただし、ファイルサイズは5TBが上限となります。
初期費用なし
Amazon S3はオンプレミスサーバーのように、高額な初期投資をする必要はありません。データ量や転送量などに応じて、従量課金が適用されます。実際に使った分だけ請求されるため、スモールスタートや一時的なサービスに最適です。
Amazon S3で重要な2つの概念
バケット
Amazon S3では、データは「バケット」に保存されます。バケットは、データを入れるカゴのようなものです。必要に応じて、いくつでも作成できます。バケットに付ける名前は、S3に存在するすべてのバケット名に対してユニーク(一意)でなければいけません。これは、バケット名がURLの一部となるためです。
オブジェクト
Amazon S3に保存したファイルは、「オブジェクト」と呼ばれます。オブジェクトには、バケット中でユニークなオブジェクト名(キー名)が付けられます。ファイルへのアクセスは、バケット名とオブジェクト名が含まれるURLで行います。バケット中のオブジェクトは、データモデル上は”フラット”ですが、フォルダの概念をサポートしています。このため、オブジェクト名にはフォルダパスも含まれています。
Amazon S3のストレージクラス
Amazon S3標準(汎用)
汎用的な用途に使用できるストレージクラスです。ウェブコンテンツやビッグデータなど頻繁にアクセスされるデータに最適です。年間の可用性が99.99%となっているため、サービスによっては注意が必要です。
Amazon S3 標準-低頻度アクセス(標準-IA)
あまりアクセスされないデータを保存するためのストレージクラスです。アクセス時(取り出し)の料金が割高になりますが、その分ストレージ料金は安価に設定されています。バックアップやログファイルなど、保管がメインとなるデータに向いています。
Amazon Glacier(アーカイブ)
めったにアクセスされないデータを安価に保存できます。大容量データの長期保存を想定しているため、保存から90日以内の削除や総データ量の5%以上の取り出しには別途料金が発生します。また、データの取り出しに数時間かかるため、すぐに取り出したいデータには向いていません。
低冗長化ストレージ(RRS)
標準のストレージクラスでは、3箇所のデータセンターにデータが保持されます。一方、低冗長化ストレージでは、2箇所のみとなるため耐久性が99.99%になります。耐久性は下がりますが、その分ストレージ料金を抑えられます。サムネイル画像など、再生成できるデータに向いています。
Amazon S3の料金に関係する要素
ストレージ使用量
Amazon S3で使用しているストレージ容量に対して、GB単位で料金が請求されます。料金は、ストレージクラスやストレージ使用量により異なります。新規ユーザーは、12ヶ月間5GBのストレージを無料で使用できます。
リクエスト数
データの取得・保存・削除などのリクエスト数に応じて料金が発生します。こちらもストレージクラスにより、料金に違いがあります。新規ユーザーは、12ヶ月間20,000件のGetリクエスト、2,000件のPutリクエストが無料です。
データ転送量
S3へのデータの送信については無料ですが、S3からデータを送信する際には料金が発生します。インターネットや別のAWSリージョンに転送したデータ量に応じて、GB単位で請求されます。インターネットへの転送については、月の最初の1GB分が無料になります。料金がかさみやすいポイントなので試算が必要です。
Amazon S3のみで静的ウェブサイトをホストする
静的ウェブサイトであれば、Amazon S3のみでホスティングできます。サイトのファイル一式をまとめてアップロードして、簡単な設定をするだけでウェブサイトを公開できます。それほどアクセスがないサイトであれば、月数十円~数百円で済むでしょう。レンタルサーバーと比べてもお得です。また、デフォルトで割り当てられるURLではなく、独自ドメインを使用することもできます。
まとめ
Amazon S3は、非常に高い堅牢性を持ったクラウドストレージです。シンプルでありながら、他のAWSサービスとの親和性も備えています。用途に合わせて、適切にストレージクラスを使い分けましょう。場合によっては、オンプレミスよりも料金が割高になってしまうこともありますので、事前に現在の使用状況を参考に料金を試算してみましょう。あなたもAmazon S3でデータを安全に保存してみませんか?
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