(Photo by:Intel Free Press)
オンデマンドアクセスが可能な資源の集積
「クラウド」や「クラウドコンピューティング」という言葉が浸透しました。改めてクラウドとはなんでしょうか。それは、コンピューターの資源を集積させて、必要なとき — つまりオンデマンドでアクセスして利用できる技術のことです。
コンピューターはローカルにそれぞれ資源がありますよね。それを集積させて自由にアクセスして利用することをいうのです。
コンピューターの性能が低かったサーバークライアント時代に戻ったかのような概念ですが、サーバー側の管理負担が大きく削減されています。
インフラが整い、多くの人がネットワーク越しにアクセスできるようになったため、一気にクラウドの技術・サービスが発達してきました。
クラウドを利用するメリット
クラウドのサービスを利用するに当たって、メリットは何でしょうか。
それは、環境に応じた管理や保守などがサービス側に一任され、使う側は必要なものだけをネットワーク越しに提供してもらうだけでいいのです。
その代わり、サーバー側には大きなリソースを必要とし負担がかかっていることは想像に難くないでしょう。
クラウドを支える仮想化技術
ではそんなクラウドコンピューティングですが、オンデマンドで利用者に資源を割り当てるのに、仮想化技術というものが使われています。
CPUやメモリのみならず、ストレージやネットワーク、アプリケーションなどの様々な機能が仮想化技術によって提供されています。
仮想化技術には技術によって大きく分けて3つあるのですが、今回はその3つを詳しく見て行きます。
1. サーバー仮想化の技術
VM(バーチャルマシン)を稼動させ、その上にOSを乗せるための技術です。
VMは複数稼動させることができるので、高性能のサーバーを用意すれば複数の利用者が同時にVMを利用できます。VMは昔からある技術で、Unix専業のプログラマが、業務アプリケーションやオンラインバンキングなど、一時的にWindowsを使いたいときなどにVM上でWindowsをインストールし、そこでアプリを実行するなどという使い方がされていました。これならばわざわざもう一台Windowsマシンを準備する必要がありません。
サーバー仮想化は、基本的にホストOSの上で仮想化ソフトウェアが実行され、その上にVMとゲストのOSが乗っているという構造ですが、ハードウェアに直接ハイパーバイザーを乗せ、そこがVMを管理するというタイプもあります。
VMは技術者にとっては昔かからある親しみやすい技術です。
2. ネットワーク仮想化の技術
利用者ごとに異なるネットワーク環境を用意するのは大変です。
ネットワーク仮想化技術では、大容量の機器に複数のサービスをまとめて入れる技術が必要となります。これがネットワーク仮想化技術です。
VLANなどが有名です。これはLANを仮想化したものです。
またルーターも仮想化できます。
3. ストレージ仮想化の技術
こちらも利用者ごとに複雑な構成が必要とされるのを避けるために、ストレージ全体を利用率を向上させる必要があります。これがストレージ仮想化技術です。
具体的にはストレージを階層化して、複数のストレージをひとつに仮想化し、必要に応じて適切なストレージに保管することが可能になる技術です。
これによって大きくコストを削減できます。
クラウドにまつわるデメリット
ここでクラウドコンピューティングを利用する上でのデメリットもおさえておきましょう。
まず、サービス提供者がいつまでも続くとは限らないという点です。資源を外部に持つため、その提供者が撤退するなどの経営条件に自社のサービスが左右されてしまいます。また、外部に託すと言うことはそれだけ情報漏えいのリスクがあるということでもあります。そして最後に、米国のクラウドサービスを利用する場合、捜査当局の監視対象・操作対象になるリスクがあるのです。海外から提供されるクラウドサービスを受ける場合は、各国の法律をおさえておく必要があります。
とはいえ、クラウドの流れは止められない
インフラが整い、日本の隅々まで高速インターネットが張り巡らされ、デバイスが普及し、多くの人がiPhoneやiPadを手にし、知らず知らずのうちにクラウドコンピューティングサービスを利用しています。この流れはもはや止められないでしょう。人々はもっともっと身軽になろうとしているのです。サービスプロバイダも増加の一途を遂げ、SaaS,PaaS,IaaSともに各社高品質で安価なサービスを市場にリリースしています。
市場が選んだ選択が最も正しいのです。いまのところクラウドは私達にとって最善の選択だといえるでしょう。
なぜ安価なサービスが実現可能になるのか
サーバーに莫大な資源が集中し、運用コストも相当なものになるのに、なぜクラウドサービスは安価で提供可能なのでしょう。
それはスケールメリットです。何千台ものサーバーを用意して、上述の仮想化技術や、分散処理技術などを用いて適切に配分し、数多くの顧客を獲得することで低価格を実現しているのです。
インターネット社会との親和性
変化が早いインターネットの世界では、サービスもそれに対応してすばやい変化がもとめられます。あるサービスが一夜にして莫大なアクセスを集めることもあり、そうなるとすべて自社でまかなっていてはサーバー増強からソフトウェアの設定まで莫大な時間がかかります。ですがクラウド上で運営していれば、即座に対応できるのです。
これによって市場の変化に応じたサービスが提供可能になります。
今のインターネットサービスの開発方法は、まず最低限の機能を備えたサービスをローンチし、市場の反応を見て機能追加し、検討を重ね、また最初に戻って開発する、の繰り返しで非常にサイクルが早くスピーディです。
クラウドコンピューティングはそのようなサイクルの早いサービスを提供するのに適切なのです。
(Photo by:NEC Corporation of America)
サービスの提供だけでなく、ビジネスの利用にも
これまではサービスの開発者が利用するクラウドコンピューティングについて書いてきましたが、もっと身近にもクラウドコンピューティングはあります。
たとえばメール。Googleが提供しているGmailサービスは無料で利用でき、どこからでも、PCやスマホからアクセスすることが出来ます。
ビジネスマンでは会社と自宅にセキュアなクラウドサービスを導入し、会社での仕事の続きを自宅に帰ってからそのまま行うことが可能になります。これならばノートパソコンやメモリにいれて持ち歩く必要はありません。大切なデータが格納したハード紛失などのリスクもなくなります。
コストの削減と、人員の適切な配置
オンデマンドで利用するときだけアクセスするクラウドサービスは、使用したときだけ費用を払えばいいので設備投資などがまったく不要になります。
またこれまで運用には人員を配置してきましたが、それも不要となり、開発に人員を当てることができるようになります。
プライベートクラウド
これまで、外部サービスにアウトソースする形でのクラウドについて書いてきましたが、一方で企業内で自分でクラウド環境を準備して、閉じた社内の中でクラウドを使うケースもあります。
いわゆる「プライベートクラウド」です。
大企業では開発部と情報システム部がわわれているため、プライベートクラウドを構築することによって、運用の部分をすべて情報システム部に任せることによって、リソースを開発に集中することができます。
このように、企業規模の大きな組織では、社内にクラウドを構築することで体制面でのメリットがあるのです。
また、プライベートクラウドを導入することで、これまでコスト意識とは無縁だった情報システム部に、コスト感覚を持ってもらうことができます。SIerにとってこの意識改革は非常に重要なファクターとなります。
このため、多くの大手SIerの内部では、プライベートクラウドへの以降がどんどん進んでいます。
(Photo by:FutUndBeidl)
ビジネスモデルの変化
これまでYahooやGoogleは、広告収入を収入源として無料でサービスを展開してきました。ですが現在では、GmailやGoogleマップなど、クラウドコンピューティングの技術を利用して法人向けのサービスを行い、新たな収入源を確保しています。事業の形が変りつつあるのです。またAmazomも有力なサービスを法人向けに展開し、強力なクラウドシステムを構築しています。このようにビジネスモデル自体にも変化をもたらすようになってきたのです。
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