(Photo by:TechCrunch)
「将来なりたい職業」というのは、小中学校で誰もが経験したことのある作文のテーマですが、10代から20代の学生を対象に行った調査によれば、22%の回答者が、将来なりたいと思う職業がないと答えています。
アメリカではこれからの20年で、47%の職業がコンピューターによって自動化され、デューク大学の調査によれば、2011年度に小学校に入学した子供の65%は、現在存在しない職業に就く可能性があると述べていますが、終身雇用が崩れ、フリーランスとして働く人たちを身近に見てきた若者たちは、自分がどこでどのように働くかを想像するのが、どんどん難しくなってきているのかもしれません。
↑自分の将来を思い描けない子供が増えている。(Photo by:Philippe Put)
1881年にドイツで65歳定年制が導入された当時の平均年齢は43歳で、今現在も定年の年齢をそれ以上に引き上げた国はほとんどありませんが、先進国では2055年までに、女性の寿命は100歳まで延びると予想されており、老後数十年を残して、リタイアするというのは非現実的で、今後は生涯現役で働くという人もどんどん増えていくことになります。
そんな中、現実を見据えた先進国の人々を中心として、企業のしがらみや定年などの型にはまらず、さらに「仕事」と「プライベート」の境界線をあいまいにして、自分らしく社会とつながって仕事をする、ナルシスト的な働き方が社会を動かし始めています。
↑自分らしさを出せないことは、仕事にしない。(Photo by:Derrick Austinson Photog)
ジョージア大学のキャンベル教授は、「ナルシストは伝染病だ」と述べていますが、頭から氷水をかぶるアイスバケツのチャリティーに世界中の人たちが参加したように、会話が乱雑するオンラインの世界であっても、真のあるメッセージを自信を持って発信すれば、それに賛同し、体を張って協力する人たちが増えてきています。
堤大介さんは、スティーブ・ジョブズが創業したピクサーに勤める傍ら、様々なバックグウランドを持つアニメーター70名を集めて、クリエティブ・チームを作り、「ダム・キーパー」という短編アニメを完成させました。
個々の才能が集まったこの作品は、世界75ヶ所を超える映画祭で上映され、アカデミー賞にノミネートされた際には、世界各地から10万件以上の応援コメントが寄せられたそうです。
↑個々が集まって作られた短編アニメ「ダム・キーパー」(Photo by:Ana Casquin)
アカデミー賞を受賞したのはディズニーの作品でしたが、9ヶ月の製作期間に個々の人々が、本業以外で力を出し合って創り上げた作品が、ディズニーと競い合ったことが、世界のクリエイターから高く評価されました。
志願したメンバーが情熱を持って達成するプロジェクトは、大きな力を持つことが証明されつつあり、グーグル会長のエリック・シュミットも次のように述べています。
「韓国のアニメーターに、フィリピンの声優、メキシコの絵コンテライター、ケニアのミュージシャンがコラボして完成させた作品は、ハリウッドの大ヒット作にも負けない、幅広いオーディエンスを魅了するかもしれない」
↑才能が集まって作った作品は、ハリウッド映画にも負けない (Photo by:Kevin Krejci)
かつて海外や地方に住む人と仕事をするのは、人件費の節約やコスト面のメリットが重視されていましたが、優秀な才能があれば、田舎に住んでいるからと言って、その人の価値が下がるわけではないため、地方に住んでいる人達を不当に評価するのは明らかに間違っています。
大企業は過去の成功に頼る傾向があるため、イノベーションを起こすのが難しいとされていますが、携帯電話にしろラップミュージックにしろ、いつの時代も革命的な発明をしたのは、単純にそこに情熱を注ぐ人々だったはずです。
↑マウンテンバイクを開発したのも企業ではなく、自転車愛好家 (Photo by:Dai Williams)
「人材」を「人財」と考えるようになったグーグルをはじめとするシリコンバレー企業の多くは、身近なところで「人財」に妥協をするよりも、世界中の人たちと協力しながらイノベーションを促進していく、「Open Web of Things」を積極的に活用しています。
ジャーナリストのチャールズ・リードビーターさんは、TEDトークでインターネットによるオープン・イノベーションの可能性について語りましたが、「ソフトウェア開発などの複雑な業務であっても、組織に縛られる必要はない」と述べています。
↑複雑な作業であっても、組織に縛られる必要はない(Photo by:TechCrunch)
イノベーションを必要とするさまざまな組織が課題を相談して、解決策を募るサービスも増えてきており、2001年に創設された「イノセンティブ」では、解決策を投稿する登録者数が30万人を越え、全く異なる視点を持つ外国の人の意見を採用して、プロジェクトを動かすことも簡単になってきました。
2025年までにインターネットを通じて、50億人以上がつながると予想されており、海外から手軽に知識や才能が集まるようになれば、「新卒」という真っ白な状態をよしとする日本企業は、明らかに遅れをとっていくことになるでしょう。
↑自分の仕事にサインをする(Photo by:hackNY.org)
最近では、「世界で自分の将来を考える旅」と題された若者向けのシリコンバレー・ツアーなどもあるようですが、今後は早くからグローバルな場で自分を試しながら、異質な人たちの中で、自分のブランドを確立するナルシストたちの活躍する場が、どんどん増えていく可能性があります。
考えてみれば、当たり前なのかもしれませんが、常に変化し続ける世の中では、過去の延長線上から答えを見つけることは難しく、製品やサービスを作るプロセスも今後どんどん変化していきます。
21世紀は個人の時代と言われていますが、企業から抜け出してきた個人が、企業が作るものを超えられるのか、非常に楽しみです。
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