(Photo by:University of the Fraser Valley)
はじめに
プロジェクトのタスクをうまく管理できていますか?ほとんどのソフトウェア開発は予定通り進むことはなく、頻繁に機能追加や変更、削除が行われます。そのため、タスクの管理が煩雑になりがちです。今でもExcelでのプロジェクト管理を行っている現場は数多くあります。
しかし、Excelでのプロジェクト管理は情報共有がしづらく、似たようなファイルが多数コピーされているといった状態になることもあります。今のタスク管理に問題を感じているなら、今回紹介するチケット駆動開発(TiDD)を試してみましょう。
この記事では、プロジェクトのタスク管理を改善したい方のために、チケット駆動開発(TiDD)の概要や基本的な流れ、よく使われるバグトラッキングシステム(BTS)などをお伝えしていきます。チケット駆動開発(TiDD)はチケットを中心に開発を進めるというシンプルな考え方にもとづいています。簡単にはじめられますので、小さなパイロットプロジェクトで導入してみましょう。
TiDDの概要
TiDDは2007年に発表された日本生まれのソフトウェア開発手法で、タスクをバグトラッキングシステム(BTS)のチケットに割り当て、そのチケットを処理することで開発を進めます。BTSは本来バグを管理するためのソフトウェアですが、それを通常の開発にも使おうというわけですね。アジャイル開発との親和性が高く、スクラムやエクストリームプログラミング(XP)などと併用することもできます。
TiDDのルール(原則)はただひとつ。「No Ticket, No Commit!」(チケットなしのコミットは禁止)です。すべてのタスクをチケットで管理するため、タスクを開始する前にそのタスクをチケットに割り当てる必要があります。面倒なようですが、これにはメリットがあります。「タスクの共有がしやすい」「現在の状況がわかりやすい」「作業の履歴が残る」といったものです。また、BTSを他のツール(バージョン管理システムやCIツール)と連携させ、チケットを処理することで関連する作業が自動的に実行されるようにします。
基本的なチケット駆動開発(TiDD)の流れ
要件をタスクに分割する
まずは、大きな要件をタスクに細分化します。タスクは細かくなりすぎてもいけませんが、あまり大きくならないように適度なサイズに分割しましょう。数時間で終わる程度のサイズが理想的です。チーム内である程度タスクのサイズを揃えておきましょう。
分割したタスクをチケットに割り当てる
タスクに分割できたらチケットに割り当てていきましょう。BTSにタスクとしてチケットを新規作成します。この際に担当者や優先度を決めておいてもよいでしょう。だれにでもわかるように詳細に内容を記載しておきます。
担当するチケットのタスクを実行する
自分が担当するチケットのタスクの内容を確認して実装します。採用している開発プロセスによっては、イテレーション内で処理する予定のチケットの中から選ぶことになります。チケットの処理を開始したら、ステータスを処理中にしておきましょう。
変更をコミットして、チケットをクローズする
実装が完了したらバージョン管理システムに変更をコミットします。そして、忘れずにチケットをクローズ(完了)しておきましょう。BTSと関連ツールを連携させることで、「コミット→ビルド→テスト→チケットクローズ」の一連の流れを自動化できます。
チケット駆動開発(TiDD)でよく使われるバグトラッキングシステム(BTS)/ITS
Redmine
公式サイト:http://www.redmine.org/
Ruby on Railsで開発されているオープンソースのプロジェクト管理ソフトウェアです。インターフェイスはウェブベースとなっており、ガントチャートやカレンダー、プロジェクトWikiなど多数の機能があります。バグ管理システムもその中のひとつです。10年以上の歴史を持っていて、現在も開発が続けられています。なお、公式サイト自体もRedmineで作られているので、ちょっとのぞいてみるよいでしょう。
Trac
公式サイト:https://trac.edgewall.org/
こちらもオープンソースのプロジェクト管理ソフトウェアです。あまり頻繁にリリースされることはありませんが、現在もメンテナンスと次期バージョンの開発が続けられています。インターフェイスはRedmineと同じくウェブベースです。後発のRedmineと比べると機能的には少ないですが、シンプルだともいえます。公式サイト自体がTracで運用されていますので、気になる方はチェックしてみましょう。
JIRA
公式サイト:https://ja.atlassian.com/software/jira
JIRAはアトラシアンが開発しているプロジェクト管理ソフトウェアです。他にも多くのソフトウェア開発ツールを提供しているので、いずれかの製品を使っている方も多いでしょう。商用製品だけあって多機能で美しいモダンなインターフェイスを備えています。カンバンボードやスクラムボード、アジャイルレポートなどアジャイル開発に特化した機能があります。無料トライアルが可能なので、導入を検討する方は一度試してみる価値はあります。
まとめ
普段からバグトラッキングシステム(BTS)を使っている方ならすぐにでもチケット駆動開発(TiDD)をはじめられるでしょう。まだバグトラッキングシステム(BTS)を使ったことがない方は、まずは無料のBTSをインストールしてみましょう。バグトラッキングシステム(BTS)は基本的な機能だけならそれほど難しいソフトウェアではありませんから、すぐに使い慣れることでしょう。プロジェクトを円滑に進めるためには、しっかりとしたタスク管理が必要不可欠です。あなたもそろそろExcel管理から脱却しませんか?
本ブログは、Git / Subversion のクラウド型ホスティングサービス「tracpath(トラックパス)」を提供している株式会社オープングルーヴが運営しています。
開発の効率化をしたい!もっと便利なツールを使いたい!そんなお悩みをtracpathで解決!
「tracpath(トラックパス)」は、企業内の情報システム部門や、ソフトウェア開発・アプリケーション開発チームに対して、開発の効率化を支援し、品質向上を実現します。
さらに、システム運用の効率化・自動化支援サービスも提供しています。
”つくる情熱を支えるサービス”を提供し、まるで専属のインフラエンジニアのように、あなたのチームを支えていきます。
No Comments