(Photo by:Victor van Werkhooven)
限られた時間の中で、ソフトウェア開発者が技術とアイデアを競い合う「ハッカソン」(ハックとマラソンを組み合わせた造語)は、日本においては、大企業を対象とした調査でも認知度が37.2%とまだまだ低く、そのうち86.2%が関わったことがないということがわかっていますが、海外では革新的なアイデアを集めるイベントとして年々規模が拡大しています。
シリコンバレーに本社を構えるタクシー配車サービスのUberは、自社のAPIを使ったサードパーティーのアプリによってエンドユーザーを増やすために、今年の3月17日から2か月にも及ぶアプリ開発のオンライン・ハッカソンを開催し、1500人ものプログラマーがこのイベントに参加しました。
↑Uberのハッカソンには、およそ1500人ものプログラマーが参加 (Photo by:TechCrunch)
見事優勝を果たしたのは、ソフトウェアエンジニアのワング氏が率いる三人のグループが作成した、「Rally(ラリー)」というイベント用アプリでした。
このアプリは、フェイスブックと連携して開催イベントの時間や場所、そして参加者の情報を管理し、グーグルマップを使って参加者の現在地や到着予定時刻をシェアし、更にはUberと連携してタクシーを呼ぶ事もできるため、例えイベントの開催地がわかりにくい場所やアクセスが不便な場所であっても、問題なく参加者を管理することができます。
その他にも6つのアイデアが賞を受賞しましたが、その中でも「Workflow(ワークフロウ)」という複数のアプリを連携させることができるアプリは、アップルの編集者選抜賞にも選ばれ、発売開始から4日間に、アプリ購入ランキングの一位にもなりました。
↑ハッカソンで生まれたアプリは、売り上げ1位にもなるほど人気を集めた。(Photo by:bfishadow)
ルンド大学で組織心理学を専門とする、エクヴァル名誉教授の研究から派生したイノベーションに関する調査によれば、イノベーションが起きやすい組織の要素の中でも、イノベーションを起こす企業とそうでない企業において、もっとも差が大きいものが、「リスク・テイキング」であることが発表されましたが、ハッカソンでイノベーションが生まれるのは、参加者たちがリスクを気にせずに、オープンで自由な環境でプロジェクトに取り組めるからかもしれません。
↑規模が小さければ、小さいほどリスクは取りやすい。(Photo by:TechCrunch)
数年前までは、サブカルチャー的なイベントだったハッカソンは、現在では、シリコンバレーのプログラミング開発者の間で当たり前のものになり、また、従来行われていたオフラインのものに留まらず、Uberが開催したようなオンライン上のハッカソンも開催されるようにもなったことで、イベントも参加者も以前より格段に増え、分野や参加資格などが多様化し始めています。
アメリカのメリーランド大学カレッジパーク校では、女性専用のハッカソン「テクニカ」を今年の11月7?8日に開催する予定ですが、主催したエンジニアの学生ジャヤンティ氏は、このハッカソンによって、男性が大半を占めているコンピューターテクノロジー業界の男女比の是正と、女性の参画の促進を狙っています。
↑ハッカソンが当たり前になってきたことにより、参加条件なども多様化。(Photo by:flirianders)
ハッカソンは、世界各地からアイデアを集められる場へと発展し、与えられる課題の大きさは企業の商品やサービスの開発にとどまらず、国家プロジェクトにまで拡大しています。
その一例として、インドでは、4分に1人が交通事故で亡くなるという道路交通事情があり、その解決のために、国が主導したハッカソンが開催され、180人の若きプログラマーが36時間の中で様々なアイデアを出し合いました。
最も革新的な解決策として評価されたのは、安全運転をするとクーポン券などと引き換えができるポイントが溜まるという安全促進アプリ「ボン・ヴォヤージュ(フランス語で「良い旅を!」という意味)」で、インド南部にある科学技術連邦工科大学の3人の学生によって発明されました。
↑国家規模の問題も、頭の柔らかい人たちの意見を採用する。(Photo by:Sebastiaan ter Burg)
日本でも、徳島県の美和町では過疎地域をITで盛り上げるべく、学生参加者が集結して、3日間に及ぶハッカソンが開催されましたが、こうしたハッカソンを定期開催している企業向け採用支援サービス、ギブリーの山根淳平さんは「学生がプログラムを学びたいと思っても、技術を磨く機会が少ない。学生のスキルアップの場としてハッカソンを開催している」とコメントしています。
現在、日本の将来に不安を持っている若者が77%もいることがわかっていますが、その中で現状をどうにか変えたいという若者も大勢いて、ハッカソンが盛り上がっているのは、アイデアを形にする場を与えられた若者が、開催側を驚かせるほどの作品を完成させているケースが多いためでしょう。
↑機会を与えられた瞬間、若者たちの力が爆発する。(Photo by:droidcon Global)
若者たちがハッカソンに参加して、自分のアイデアが問題解決の一助となる実感を得られ、大人たちが彼らの可能性を認めれば、社会は風通しのよいものとなり、現代の日本を包んでいる社会不安も、次第に晴れていくのではないでしょうか。
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