(Photo by:Maurizio Pesce)
全世界で約13億人が使うフェイスブックは、日本国内でも2014年時点2,400万人が使用、2013年と比べて40%も増加していますが、年代別で見ると20代の使用が61.1%と最も多く、10代の若者は主にラインやツイッターを利用しているのが現状です。
アメリカに目を向けると、その傾向はもっと強く、社会的なプレッシャーゆえにフェイスブックに登録はするものの、実際に友達同士のやりとりで使用する10代の若者たちは、年々減少しています。
ハフィントンポストによると、2012年秋の時点では、10代の42%がフェイスブックのアクティブユーザーでしたが、それが2013年の春には33%、2013年秋、2014年春には23%まで落ち込みました。
テキサス大学オースティン校に通う19才の男子学生は、アメリカのティーンズの声を代表し、「僕達にとってフェイスブックは死んでしまったもの」とまで述べています。
↑フェイスブックは古い大人が使うもの (Photo by:mkhmarketing)
そんな10代が夢中になっているSNSのひとつで、写真に特化したインスタグラムは、フォローされたらフォローし返さないといけないというプレッシャーがないことや、ユーザーがクオリティの高いものを慎重に投稿するという意識があり、アプリを開いたらポストされた写真で溢れかえってうんざりすることがないことなどから、感性の似ているユーザー同士の交流を活発にしています。
文章でやりとりをするSNSとしては、半径10マイル以内にいるユーザーとポストを共有し、匿名でコメントを書き込めるYikYakというSNSサービスも人気を集めています。
これは、人気のないものはどんどん下位に下がるというシンプルなシステムで、特に大学などの限られた空間を共有する同世代の若者の間で、濃厚で質の高いコンテンツが共有されています。
インスタグラム「クオリティの高いものを慎重に投稿する」(Photo by:Dickson Phua)
また、世界のティーンエイジャーの間で、爆発的な人気を集めているスナップチャット(Snapchat)は、日本の中高生の間でも流行り始めており、2015年5月時点で、全世界のアクティブユーザーは1億人を突破し、アメリカではSNSユーザーの18%がスナップチャットを使用、そのうち70%が女性です。また、2015年7月時点で、スナップチャット上でやりとりされた写真は、1秒間に8,796枚にも及びました。
このスナップチャットが選ばれる最大の理由は、送られてきた写真が10秒以内で消えるように設計されていて、「写真が残らない」という他のSNSには無かった点で、スクリーンショットを撮ることもできませんし、画像を見るときは画像にタッチしていなければならず、もし、送られてきた写真を保存しようすれば、送信者に通知される設計になっています。
このスナップチャットの仕組みはまさに、「私刑」ともいわれる制裁やリベンジポルノなど、写真が残ることによるネット上のリスクを肌で感じるようになっていた10代の若者たちが欲しがっていたもので、彼らのSNSに対する考えは、20代や30代の人たちが考えるSNSとは大きく違っているようです。
↑アップされた写真はすぐに消えることが、逆に好まれるスナップチャット (Photo by:markus jakobs)
スナップチャットでは、10秒で写真が消えるからこそ、プライバシーや友達とのいざこざを気にすることもなく、自然体でリアルタイムに近いコミュニケーションを楽しめる「感覚」が若者たちの心を掴み、若者たちは自分をさらけ出して、その空間で初めて「本当の自分」になれると、他のSNSとの違いを次のように語ります。
「パーティーの準備をして、パーティーに向かっているとき、パーティーを楽しんでいるとき、パーティーから帰るとき、その翌日の朝目覚めたとき、これらの全ての場面の写真をポストするのがスナップチャット。そして自分がかわいく友達と写っている写真をいくつかピックアップして、ポストするのがフェイスブック。その中でもさらに自分が最もかわいく写っている1枚を選んで載せる場所がインスタグラム。」
↑全ての場面をポストするのがスナップチャット (Photo by:Maurizio Pesce)
かつてマーシャル・マクルーハンは、自著「メディア論」の中で、「われわれはその中枢神経組織自体を地球規模で拡張してしまっていて、わが地球に関する限り、空間も時間もなくなってしまった」と述べましたが、「今」を共有することができるスナップチャットは、若者たちのコミュニケーションのあり方を、ウェブという無限の世界でありながら、よりリアルで感覚的な方向に変えようとしているのかもしれません。
↑人生の一部を共有するというよりは、「今」を共有する (Photo by:Armando Farel)
ただし、スナップチャットの開発者でありCEOのエヴァン・スピーゲルがスタンフォード在学中にスナップチャットのもととなった、「Picaboo」を開発した際に、Sexting(Sex+Text:性的な写真やテキストを送受信する行為)を目的としていたように、スナップチャットも「残らない」という安心感から、性的にきわどい写真を送ったりすることに使われることは、容易に想像でき、スナップチャットには、「人生を崩壊させる」危険をはらんでいると多方面からの警告がなされていることも、忘れてはなりません。
送った写真は10秒以内で消えるとされていますが、グーグルで検索すれば消えているはずの写真にアクセスできたり、アンドロイドでは、スクリーンキャプチャするためのアプリが出されていたりと、実際には投稿のログはしっかりと残ることが、専門家によって指摘されています。
したがって、表面上は「今のありのままの自分」だけをさらけ出せたとしても、ウェブという性質上、裏ではデータが完全に消滅していないのが現実です。
↑スナップチャットCEOのエヴァン・スピーゲル「残らないからと言ってすべてが安心なわけではない」 (Photo by:TechCrunch)
それでも、10代の若者たちは、より多くの人から「いいね」を得るほうがいいのだという評価や、知らない誰かのコメントに返信する責任から離れることを欲し、スナップチャットのようなツールを手放すことはないでしょう。
ニューヨーク大学で精神科医として勤めるロリ・エヴァンス氏は、「フェイスブックは会話ではない」と述べていますが、偶像の自分ではなく、ありのままの自分の感情や相手の感情が伝わりあうスナップチャットのようなSNSが普及し、さらに安全なものが開発されれば、今のネット犯罪の根底にあるネットユーザーの身勝手さは非難され、ウェブ上での人間関係は、より本質的なものへと変わっていくのではないでしょうか。
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